人間

関係性について考えているうちに、高校時代の友人について書きたくなった。
それは、二人の友人についてであり、俺にとって一生の友人になれると思えた二人であった。
だいたい、中学までは地域性という枠に縛られた付き合いが主である。俺の通っていた小学校は3クラス、中学校は4クラスと、ほとんど変化のない友人環境であった。中学までの学友は全員知っているといっても過言ではない。だから、高校での友人関係は、俺にとって、この恣意性の高さは初体験であった。
一人はユウスケという、自分の名前にコンプレックスを持った、ちびで小太りで色白、目は細く少し前歯が出ているという外見で、眼鏡をかけていないのが残念なくらいの奴だった。そいつは俺に、海外SFや同人の世界、そしてコアな思想を教えてくれた。少し右よりな考え方の持ち主で、例えるなら尊皇攘夷という感じであった。当時、グイン・サーガの白人文化の影響を吐き捨てるように非難していた。あのころの俺は、奴のこと何分の一も理解できてなかったと思う。それでも、尊敬できる友人であった。
もう一人は、高学歴崩れの奴で、自分の能力に見切りをつけた、ちょっと変わった奴だった。ギャラと呼んでいた。ギャラとは同じクラブで三年間同じクラスだった。こいつの面白いところは、大胆ではあるがどこかマヌケで、本人は至極真面目ながら、いつもユーモラスな雰囲気を漂わせたやつであった。あるとき、クラブで数十万相当の楽器があったらなあという話になった時、ギャラは単独行動で、なんと学長に直談判に行ったのだ。訳を聴くと、ギャラは当時会計で、金の話だから自分で処理しようと思ったらしい。その後、蒼くなった顧問から呼び出しを受けることになるのだが、結局今回だけは特例と言うことで、件の楽器をわがクラブは入手できたのだ。
その二人と現在はまったくの没交渉である。
理由は次回。