夢日記

舞台は桃源郷。地面は薄黄緑と赤みがかった茶色で見渡す限り桃の木がある。もちろん桃は満開で、遠くは桃色に霞んでいてその向こうにぐるりと周囲を囲む山肌がみえる。僕は仙人修行中の三人の中の一人。師匠らしき選任は禿頭で福禄寿のよう。そこに訪問者が三人。ごつい男達で、夢枕獏の小説の登場人物であることを知っている。でも、どれが文成でどれが九紋でどれがミスター仙人なのかはみわけがつかない。師匠の指示で僕らは気を練る。太極拳のようにゆっくりだ。すると客人たちが互いに頷いて、一気に気を爆発させた。桃の木が水彩画のように解け空気中に消滅していく。嵐のような気の爆発の中で、僕の意識は高野山の書物庫へと飛ぶ。桃源郷を守るための方法を探しているのだ。僕の意識が、ふと、裏高野、立川流というキーワードを思い浮かべた瞬間、薄汚れた助平そうな、寝姿の木彫りの大黒様が視界一杯に広がり、僕は金縛りになってその息苦しさで目が覚めてしまう。